- 2010-01-17 (日)
- 01 戯言
ふと思い立って夜の街に出る。
人がいなくなった夜の観光地には、昼間とは違った物悲しい顔が隠れている。
サイズを確かめずに買った半サイズ大きいボアジャケットと、すり切れたバギーデニム。エアフォースのレザーグローブを手に装着して、ヘッドフォンからは何度も繰り返されたギターの音。吐く息はほんのりと白い。
迷路のような美術館横を通り抜けたら、海が目の前に広がる。大きなものとすぐに出会えるのは、この土地の特権だ。運転をやめた観覧車には赤色灯が点滅していて、寒い中あちこちでいの恋のカップルが肩を寄せ合っている。
いろんなストーリーを風景にとどめて流し、
夜気が体にしみるのを感じながら、
歩く。
歩く。
歩く。
黒で仕切られた水平線と暗くない夜の闇。コンテナとタンカーの灯り。赤や黄色や白を映してうねる夜の波は、まるで生き物のようだ。
孤独も、
不安も、
希望も、
後悔も、
情愛も、
迷いも、
喜びも、
感情も思考もすべてを飲み込んで、
海は当たり前のように、そこにただある。
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