- 2010-06-27 (日)
- 01 戯言
恩師の講演会へ行ってきた。
ある団体の周年記念行事で、子供の読書教育というのが主題。
そこで「物語におけるこどもたち」というテーマで1時間、岡田先生は語られた。
実際にご尊顔を拝するのは、かれこれ20年ぶりになる。
一月程前に講演があるのを知ってから、
正直なところ、行こうかどうしようかずっと迷っていた。
会いたい、とは思うのだが、どうにも面映いというか緊張してしまう。
昔の自分を知っている人というのは、
なんだか今の自分を見せてガッカリさせてしまうんじゃないか
そんな不安をいつもいだいてしまうのだ。
(もちろん、相手にガッカリしたくないというのもある)
しかし、行ってよかった。
20年の歳月が流れ、それ相応に年を重ねていらっしゃったが、
話され方や、お話の間にはさむ冗談、その時の柔らかい笑顔
そういった細やかな部分のディティールは、記憶の中の先生そのままだった。
拝聴していて、図工準備室を覗き見てワクワクしていたことや
コピーミスの用紙で作った紙鉄砲で盛り上がったこと、
アロエを食べさせられた先生のいたずら、
図工室の前に飾ってあるマリオネットが薄暗くて少し怖かったこと
いろんなことが次々と思い出され、嬉しくなった。
講演の内容も興味深く、随所に先生らしい内容が盛り込まれており
授業の時に、クラスのみんなが興味津々で先生の話を聞いていたのも思い出した。
講演後、即売会とサイン会があり、そこで晴れて対面することができた。
次の人も控えているし、時間にして数分だったが
先生と顔を向かい合わせ、目を見て話せたことが嬉しかった。
おそらく時間がたくさんあったとしても、
胸が一杯でほとんど話せやしなかっただろう。
名簿で名前を見て、もしかしたらと思っていただいていたようで
やっぱり!と、笑顔と驚きの表情をいただいた。
いろんな感情が内面に渦巻いており、なかなかうまく言葉にならないが
少しほろりとした。
握手をかわした先生の手は力強かった。
今までを振り返ると、
ボクは師に恵まれていたなと思う。
それぞれ分野は違えど、
答えに正解を求めないと言うか、
すべてが正解で良いと受け入れてくれる土壌がある方が多かったように思う。
家から駅までの道は、幾通りもあり、どれも間違いではないはずだ。
それがなんとなく今は、この道が最短距離だとか
安全で景色が良いルートはこれだとか、
そういった押し付けに近い正解を誰かが提示し
それにならわされているような気がしてならない。
そういう受け取り方しかできなくなってきている自分がいるのかもしれない。
どのルートでもいいよ、
君の思うルートが君にとって一番のルートだよ
むしろ隣の駅に行くルートにしてみたらどうか、
バスに乗ることにしたらどうか、
帰って来ちゃうのも面白いなぁ。
師たちはそうやって可能性の幅を広げてくれていたように思う。
そして、それは本当に豊かなことだなぁとも思う。
先生は以前、「童話にしかできないことについて」のアンケートに
「童話にしかできないとは思わないが、童話にできるということなら、人を信頼してもいいんだ。生きることって捨てたもんじゃない。そういった、人生に対する肯定的な考え方や姿勢を育む、種を撒くことができるのではないかと思う」
というようなことを答えたとおっしゃっていた。
テーマは子供と読書ではあったけれど、
なかなか日常を振り切れず、初心に戻れない大人たちにこそ、
こういった考え方や姿勢を育む土壌が今必要なのかもしれない。
少しは拗ねたり、不貞腐れちゃうこともあるけど
ちゃんと自分の「おもしろい」を探しながら
生きて行きたいなぁと思う。
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