- 2010-07-21 (水)
- 01 戯言
娘が夜中に目を覚まし、泣き、笑い、足をジタバタと動かし、脇腹をシュートし、顔をベシベシと力強くなでる丑三ツ刻。蒸し暑い部屋で寝るのを待つのも難しく、体一つ(二人なので二つだが)で、夜の散歩へと赴いた。
娘が寝付くための散歩であるが、それを念頭に外を歩いてみると、意外に明るい。明るすぎる。昼間とはまた少し違う景色は、彼女の目にはどう映るのか。あっちこっちを指さしキョロキョロ、寝付くのにはまだ少し時間が必要なようである。
遠くで新聞配達の単車が走る音がするが、それ以外は車の走行音もなく静寂そのもの。道の真中には猫の家族がまばらにくつろいでこっちを見ている。生暖かい風が汗ばんだ肌に心地良い。眠気と闘いつつ、久しぶりの夜の佇まいを楽しみながら家の周りを何周か歩いていると、徐々に娘の反応が鈍くなってきた。が、ここで油断すると、すぐ振出しに戻ってしまうので、慎重に慎重に、薄氷を踏む心持ちで歩を進める。
「おっ、蝉?」
と気づいたときは、もう目と鼻の先。
!?
違う、蝉じゃぁないっ!
こ、これはっ!
ヤツかっ!
ヤバいぃぃっ!!
全軍退避っ!!
眠っていた身体にギアセカンドで身を翻して、反転。
さらに足を振り上げ、身を悶え、あたりに目をやると、無事被弾はまぬがれた様子。
左後方1メートル地点に着地した模様。
突然の動きが面白かったようで、眠れる娘は覚醒。
キャッキャキャッキャと声を上げ、振り出しに戻る。
あいつらが飛ぶのは、
攻撃された時だけじゃない。
君たちが夢の世界へ行っている夜の世界で
あいつらはこぞって、足を動かし、触覚を動かし、羽根を動かして
その活動領域を広げている。
夜は危険がいっぱいだ。
あと、眠い。
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